AIの会社、どう分ける? 頭脳を作る会社と、借りて使う会社
AIのニュースを追っていると、知らない会社の名前が毎日のように出てきます。
OpenAI、Anthropic、Google はなんとなく分かる。 でも Kimi? Genspark? Copilot って結局どこのAI?
…正直、こちらもだんだん分からなくなってきたので、一度整理してみました。 2026年10月時点の話です。
🗺️ まずは全体の地図
AIの会社は、大きく2つに分けると分かりやすいです。
- ① AIの頭脳を作る会社:文章を考えるAIの本体(「大規模言語モデル」と呼ばれるもの)を、自分で作っている会社
- ② ほかの会社の頭脳を使って、サービスを作る会社:頭脳は借りてきて、使いやすい道具に仕立てる会社
車でいうと、①はエンジンを作る会社、②はエンジンを仕入れて車を作る会社、みたいな関係です。
🏢 ① 頭脳を作る会社:大手3社
まずは、いちばんよく名前を聞く3社です。どれもアメリカの会社です。
| 会社 | 使うときの名前 | いま看板のAI |
|---|---|---|
| OpenAI | ChatGPT | GPT-6 Astra(いちばん上)、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Luna |
| Anthropic | Claude | Claude Fable 5.1(いちばん上)、Claude Opus 5.5、Sonnet 5.5、Haiku 5.5 |
| Gemini | Gemini 4 Argon(いちばん上。今は一部の人だけ)、ふだん使うのは Gemini 3.8 Flash |
どの会社も、いちばん賢いAIから、速くて安いAIまで、何種類も並べています。 名前が多くて混乱するのは、このせいなんですよ。
出典:OpenAI モデル一覧(英語)/Anthropic モデル一覧(英語)/Gemini API モデル一覧(英語)/Google DeepMind(英語)
🌏 ① 頭脳を作る会社:ほかの国と会社
大手3社のほかにも、頭脳を作っている会社はたくさんあります。 地域ごとに見ると、それぞれ色があります。
🌎 アメリカ・ヨーロッパ
- Meta(Facebook・Instagram の会社):「Muse Spark」というAIで、Meta AI のアプリが動いています。昔は中身を公開する「Llama」で有名でしたが、いまの看板のAIは公開していません
- SpaceXAI(旧 xAI):「Grok」の会社。2026年に SpaceX と一緒になり、名前が変わりました。X(旧 Twitter)とつながっています
- Mistral(フランス):ヨーロッパの代表。チャットの名前は「Le Chat」から「Vibe」に変わりました。中身を公開するAIも多い会社です
- Microsoft:自分でも「MAI」というAIを作り始めています(Copilot の話は、あとで詳しく)
- Amazon:「Nova」というAI。会社向けのクラウドで使うのが中心です
- Apple:次の Apple のAIは、Google の Gemini をもとに作ると、2社で発表しています
🌏 中国
Kimi(Moonshot AI)、DeepSeek、Qwen(Alibaba)、GLM(Z.ai)、MiniMax など。 ByteDance(TikTok の会社)、Baidu、Tencent も作っています。
中国の会社の大きな特徴は、AIの中身(「重み」と呼ばれるデータ)を公開している会社が多いことです。 公開されていると、ほかの会社がそれを土台にして、自分のAIを作れます。
DeepSeek、Kimi、Qwen のアプリは、日本の App Store にもあって、無料でダウンロードできます。
🗾 日本
日本の会社は、作り方で2つに分かれます。
- ゼロから作る:PFN(PLaMo)、NTT(tsuzumi)、ソフトバンク(Sarashina)、国立情報学研究所(LLM-jp)
- ほかのAIをもとに、日本語や仕事向けに鍛え直す:ELYZA(KDDI のグループ)、富士通(Takane)、楽天、Sakana AI
どちらも、会社や役所向けが中心です。 個人がすぐ触れるのは、PFN の「PLaMo翻訳」(無料プランあり)、Sakana AI の「Sakana Chat」(無料、日本の中から使える)、楽天の「Rakuten AI」(楽天ID で無料)あたりです。
ちなみに、Sakana AI の日本向けのAI「Namazu」の一部は、中国の Kimi をもとにしているそうです。 国産のAIの土台が、中国の公開されたAIだったりするんですね。
出典:Meta(英語)/xAI モデル一覧(英語)/Mistral(英語)/Google と Apple の共同声明(英語)/DeepSeek(英語)/Kimi(英語)/PFN/NTT/Sakana Chat/Sakana AI Namazu(英語)/ELYZA(英語)
🧩 ② 頭脳を借りて、サービスを作る会社
ここからが、もうひとつの種類です。
この会社たちは、AIの頭脳そのものは主に借りてきます。 そのかわり、いくつもの会社のAIを使い分けて、「仕事を最後まで片づける道具」にするのが得意です。
🚀 Genspark(ジェンスパーク)
ひとこと頼むと、調べもの・スライド・表・文書まで最後まで作ってくれるサービスです。 自分たちでは「スーパーエージェント」と呼んでいます。
中身はまさに「使い分け」です。 チャットでは40以上のAIから選べて、「Mixture-of-Agents」を選ぶと、いくつものAIの答えを1つにまとめてくれます。 無料プランの標準は、Anthropic の Claude Haiku です。
最近は、スライド作り用に自分のAI「Gen-1」も出しました。 これは中国の MiniMax が公開しているAIをもとに、鍛え直したものだそうです。
🔍 ほかにも、こんな会社があります
- Perplexity:質問するとネットを調べて、出典付きで答えるAI検索。OpenAI・Anthropic・Google などのAIを使い、自分の「Sonar」も持っています
- Felo:日本の会社が作るAI検索。いろいろな会社のAIを使い、無料プランもあります
- Notion AI:メモや資料の Notion に入っているAI。Anthropic や OpenAI のAIを使い、「Auto」にすると作業ごとに選んでくれます
- Canva:デザインの道具。Anthropic・OpenAI・Google などのAIを使い、デザイン専用の自分のAIも持っています
- Manus:頼んだ作業を最後までやるAI(シンガポール)
- Gamma:AIでプレゼン資料を作るサービス。「自分でAIを鍛えるより、使い勝手を作り込むほうに力を入れる」と話しています
最後の Gamma の言葉が、この種類の会社の考え方をいちばんよく表していると思います。
ただ、Genspark の Gen-1 や Perplexity の Sonar のように、②の会社も一部だけ自分の頭脳を持ち始めています。 ①と②の境目は、少しずつあいまいになってきています。
出典:Genspark スーパーエージェント/Genspark AIチャット/Genspark Gen-1(英語)/Perplexity(英語)/Felo/Notion(英語)/Canva(英語)/Manus(英語)/Anthropic の Gamma の事例(英語)
✈️ Copilot は「副操縦士」
Microsoft の Copilot(コパイロット)は、ちょっと特別な立ち位置です。
Copilot は、飛行機の「副操縦士」という意味です。 Microsoft は日本語の発表で、Copilot を「仕事の副操縦士」と呼んでいて、こう書いています。
Copilot では、いつでもあなたがコントロールできます。
Microsoft のトップ(最高経営責任者)の Satya Nadella(サティア・ナデラ)さんも、「自動操縦(オートパイロット)ではなく、副操縦士として作った。人がコントロールする」とインタビューで話しています。
つまり、操縦席の主役はあくまで人で、AIはとなりで手伝う役、という考え方です。 公式の発表では、Copilot が間違いを含んだ答えを出すこともある、とはっきり書いてあります。 最後に決めるのは人、ということですね。
🔧 中身は、いろんな会社のAI
Copilot が②の会社らしいのは、中身です。
- 仕事向けの Copilot は、OpenAI と Anthropic の両方のAIを使っています(GPT-6 Sol や Claude Opus 5.5 など)
- 「Auto」を選ぶと、質問ごとに合うAIを自動で選びます
- さらに Microsoft は、自分のAI「MAI」も作っていて、Excel などで一部使い始めています
Microsoft は OpenAI の大株主で、長く組んできた相手です。 ただ2026年4月の見直しで、お互いにほかの会社とも組みやすい関係になりました。 Copilot に Anthropic の Claude が入ってきたのも、その流れです。
なお、個人向けの Copilot は無料で、日本語でも使えます。 Word や Excel の中で使うには、Microsoft 365 の有料プラン(月2,130円から)が必要です。
まとめると: AIの会社は「頭脳を作る会社」と「頭脳を借りてサービスを作る会社」に分けると分かりやすいです。Copilot は「人が主役、AIは副操縦士」という考え方で、中身はいくつもの会社のAIを使い分けています。
出典:Microsoft「仕事の副操縦士」の発表/NPR のインタビュー(英語)/Microsoft Copilot のモデル(英語)/Copilot の料金の考え方(英語)/Microsoft AI(英語)/Microsoft と OpenAI(英語)/Microsoft Copilot(個人向け)
💬 今日のひとこと
調べてみて意外だったのは、会社同士が思った以上につながっていることでした。
日本の Sakana AI が中国の Kimi を土台にして、Genspark が中国の MiniMax を土台にして、Apple が Google の Gemini を土台にする。 Microsoft の Copilot の中では、OpenAI と Anthropic が一緒に働いている。
「どの会社のAIを使っているか」は、もう1つに決まらない時代なんですね。 迷ったら、まずは大手3社のどれかを無料で触ってみる、で十分だと思います。
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